東京高等裁判所 昭和51年(う)2184号 判決
被告人 福井秀雄
〔抄 録〕
所論は要するに、原判決は法律上の減軽をすべきであるのに、酌量減軽しかしていないのであって、刑法七二条の解釈適用を誤っており、この誤りは判決に影響を及ぼすことが明らかである、というのである。
ところで酌量減軽は、宣告刑の裁定にあたり、犯情に照らしてなお重きに失すべき処断刑の範囲を緩和するための手段であって、法律上の減軽事由がある場合にこれを行わず直ちに酌量減軽をすることは刑法七二条に違反するものと解すべきところ、原判示第一の罪が未遂罪であることは判文上明らかであり、また記録を検討すると、原判示第一、第二の罪ともに自首していることが認められるのであるから、原判決が法律上の減軽(未遂減軽あるいは自首減軽)をしないで直ちに酌量減軽をしていることは、同条の適用を誤ったものといえるが、後述するとおり、本件では、原審が言渡した懲役二年六月の刑を更に引き下げるべき理由も必要も認められないから、単に法律上の減軽をすれば足りたものというべきところ、そうした場合の処断刑の下限(懲役二年六月)は、原審が酌量減軽をして導いた処断刑の下限と異ならず、右の誤りは判決に影響を及ぼすことが明らかとはいえない。論旨は理由がない。
(牧 永井 本郷)